Second Flight (セカンド・フライト)
※カッコ内は邦題


アルバムについて
1975年発売のセカンドアルバム。プロデューサーは前作に引き続きアラン・パーソンズ。
Ian Bairnsonが正式にメンバーとしてクレジットされるようになりました。
そしてBilly、Stuart、Ian、Davidの4人の名前が全て表記されている唯一のアルバムに。
シングル「January」が全英チャートで1位を記録したものの、アルバム自体は最高48位。
パイロットがアルバムバンドとして見られなかったということを示しているらしい。
しかし現在では、先に述べたように「シングルを6枚合わせたような」と言われるメロディーセンスや
演奏力の高さなどから、本作を最高傑作に挙げる人も少なくはない。

ところでYou Tubeなどで当時のライブ映像を探して見たりすると、
客席からガンガン飛んでくる風船を避けながら演奏していたりして、
「普通にライブさせてあげて!」ってな気持ちになります。なかなか面白いんですけど。苦笑いで風船を避ける様。


収録曲
・You're My No.1
出だしのシンセの音選びとフレーズの運びがとにかく最高。素晴らしきファンファーレ。
個人的にメロディーやアレンジやいろんな部分が「これぞパイロット」です。
しかしかわいいなーこの曲。
手拍子やオーケストラも良い感じのアクセント。

・Love Is
これもビートルズ直系なポップ。かわいい。
ベースのフィルイン(って言うのか?)がポールっぽい。たーっ、たっ、たっ、みたいな。
サビがの大団円的コーラスがキマってます。
そしてギターソロ、そしてもう一度サビと、まったく申し分なし。

・Call Me Round
シングルが1975年4月発売、B面は「Do Me Good」
イアンのギターの音はいわゆる70年代な音ではあるんだけども、
でも無二の音色。スゴいなあ。今まであまたの人が言ったことだけども私もそう思う。
マイナーと見せかけてどメジャーな曲調。
タイトル連呼は良いポップの証です。
ベースも歌い踊っててかっこいい!

・55°North 3°West (北緯55度、西経3度)
まずARPシンセのみゅんみゅん言う音とエレキのカッティングに酔いしれる。
キレの良すぎるドラムにももちろん酔いしれて。
つづいてフルート。電気的なインストの中によくぞ入れてくれましたと言いたくなる。
からの、ギター。とにかくめっちゃくちゃかっこいい。ううう。
そしてテーマ部分に戻る。
そういう感じで私は聴いてます。個々の技術の高さがよく分かる。
でもこの曲にベースギターの音が聞こえないような気がするんですが、どうでしょうか?
エフェクターかけてるだけでこのシンセベースみたいな音をエレキで出してたりする?

・To You Alone
ここで一旦落ち着く。しっとりタイム。
「Lovely Lady Smile」と同系統の曲ではあるが、
前作よりも歌い慣れたのか、低音ファルセットに安定感が感じられる。
スパニッシュギターのソロはデヴィッドが弾いているようです。カッコイイ。
さりげない鍵盤やフルートも美しい。

・Do Me Good
ちょこっとハードな感じ。ビリーの曲ってプレイガールに翻弄されてるような歌が多いような?
ヘッドフォンで聴くと音の振り分けが面白いです。
奥の方で弱ーく鍵盤の音がする。そういうのをいちいち掘り起こすのが楽しい。
サビのベースがぐおんぐおん言っててかっこいい。
アウトロはギターソロではあるんだけど、でも全楽器スゴいことしているぞ。

・Heard It All Before
レコードではここからB面。
ピアノ、シンセ、ベース、ギター、ドラムなどなど、
どの部分取っても面白いことしてるなあ。
それ以外にも手拍子・コーラスなどでも楽しませていただいてます。
ギターソロの合いの手的シンセがフワフワ言っててかわいい。
それはそうとちょっと今回「かわいい」使いすぎだな。

・Bad To Me
これまたポップの教科書みたいな曲だなあ。聴くだけでウキウキする。
オーケストラが軽く跳ねてるとだいたい良い。
しかしベースやべえよ。歌い踊ってる。
本作は「シングルを6枚合わせたようなアルバム」と言われるらしいけれど
この曲はそうでなくてもシングルになっていいような曲だと思う。特に。

・You're Devotion (きみの愛)
邦題、「きみの愛」より「きみは愛」じゃないか?ってことは置いておいて。
メロディーはキャッチー、サビの歌詞はタイトルそのままという王道なポップだけど、
全音より半音が多用されているため、不安定に安定しているような、ひねくれた奇妙な味がある。たまらん。
コーラスではイアンの当時の奥様、マリリンさんが参加。良い声です。
最後の逆回転は「Magic」のサビを逆回転にしていると聞いたけど、でもなんでだろう?

・January
シングルが1975年1月に発売、B面は「Never Give Up」
1987年にもう一度リリース、その際B面は「Magic」
このイントロでも幾万の人が魔法にかけられたことでしょう。
「よっしゃあ!」とか「来た来た来たあ!」って気がします。
イントロのギターというとこの中高音で鳴り響く(これまたファンファーレっぽい)フレーズだけど、
その二発目の後ろで合いの手的に「きゅわーん」と鳴らされてる方もまたカッコイイ。
歌そのものはだいたい同じメロディーの繰り返しのはずなのに、何度聴いても絶対に飽きない。ふしぎだ。
この曲もまたスゴいポップです。表現が稚拙でごめんなさい。

・Passion Piece (情熱のかけら)
パイロット唯一のビリーによるボーカル。PVも作られた模様(2012年3月現在YouTubeにて見られました)。
ギターレスだけどクラシカルでアホかわいくて楽しい。ビリー好きにはたまりません。
「She gets the best of me」のくだりもマリリンさんなんでしょうか。特に書いてないけれど。
どうやら歌詞もだいぶ面白いことになっているらしいので、覚えて歌っても楽しいかもね!

・Dear Artist
ふわーっとしたメロディの美しい曲。
ウザい言い方だけども本当に、デヴィッドのボーカリストとしての成長を感じる。
時折聞こえるはらはらと降るようなピアノやベースがマニアの心をくすぐります。
しかしアルバム最後の曲に大仰なオーケストラアレンジを施すっていうのは
これは何だ!伝統か!いや嫌いとかじゃないけどさ!



個人的に、このアルバムはビリーのおもかげ(語呂が良い)をすごく感じます。
自作曲のポップかつストレンジな味わいはもちろん、
あのARPの音や軽ーいピアノのリズムなどなど。
一曲ボーカルも取っているし!
前作よりもフルートの出番は控えめになっているけれど、
でもそれを差し引いても、やっぱり私は聴く度にビリーばかり探してしまう。
(それだけに時折聞こえるさりげない他パートの小技などを耳にすると必要以上に驚く)


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